細野不二彦著・ビッグコミックス。主人公の春井筆美(ハリー・フーディーニのもじり)は町金融のダメ営業マンだが、裏の顔はスーパーマジシャンDr.WHOO。超絶技巧のマジックで、ちまたに跋扈するカネと欲にまみれた亡者たちに鉄槌を振り降ろす!というマンガです。引田天功推薦(^_^;。『マジシャンズスクエア』や『マジック・マスター』にくらべれば、非現実度は10倍以上ありますが、マンガとしての面白さもそれ以上あります。
「奇術師にとって錠開けは初歩中の初歩!マスターすべき必須技術なのである-」
「奇術師はある種のツボを刺激して、ハトやウサギなどの小動物を眠らせることができる。同じ術を人間に対して施して同様の効果をもたらすこともまた…」
マジックやっている人には、「それは、ない」とつっこまれどころ満載のこの台詞。自分的にはこれで全然OK。むしろ、人に聞かれたら「ほんとだよ」と言いたいくらいです。やっぱり、マジシャンはプロレスラーみたいにある種の幻想をいだかせるべきだと思っていたりしますので。上田馬之助は、外で飲んでいるとき、他の客の視線を感じたら氷が入っているペールにウイスキーをどぼどぼ注いでイッキに飲んでいたそうです。タネはあるんだけど、それを上回る説得力(演技力)で、観客を魅了するという点で似ているマジックとプロレス。プロレスをウォッチしていくとマジックが見えてくるかもしれません(しないかもしれません(^_^;)。でも、ちょっとやっていると技巧に走りやすくなるんだけど、しばらくするとエンタメの大切さがわかってくるというところも似ているなーと最近思ったりもしています。
あと、マジックとプロレス関係でもうひとつ、現在発売中の『紙のプロレス』(No.60・ワニマガジン社)の小島聡のインタビューで、深夜でしか放映されない通常のプロレスとW-1の関係を
「通常のマジックショーじゃゴールデンの特番は組めないけど、暴露番組では組まれる」
と、マジックになぞらえて発言しています。興味のある人は是非。